「一体、誰に承認されたいんでしょう? 私は幻想だと思います」。イスラム法学者の中田考さん(59)は、大学生の頃にムスリム(イスラム教徒)となり、最前線で研究を続けてきました。「自分だけでつくったものなんて、何もない。能力も、才能も、環境も」。そう語りながら、大学を辞めた後も学生たちと勉強を続けています。神という絶対的なものを信じ、「自分ではどうしようもできない現実がある」と知ることで見える風景。独自の視点から導かれる、その強烈な主張が伝えるのは、自分や他人への期待を手放す意味でした。(withnews編集部・神戸郁人)
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【#カミサマに満ちたセカイ】
心の隙間を満たそうと、「カミサマ」に頼る人たちは少なくありません。インターネットやSNSが発達した現代において、その定義はどう広がっているのでしょうか。カルト、スピリチュアル、アイドル……。「寄る辺なさ」を抱く人々の受け皿として機能する、様々な »宗教 »の姿に迫ります。
自分にできることと、すべきことを知る
とあるアパートの一室。玄関ドアの呼び鈴を押すと、「どうぞ」と声が聞こえてきます。部屋の中で、中田さんが出迎えてくれました。
テーブルの上には、チューリップ柄のデザインが施されたカップ。黄色味の強いアラブコーヒーで満たされ、脇にロクムと呼ばれるトルコのお菓子も。ありがたいもてなしに、思わず気持ちが緩みます。
中田さんの外見といえば、胸の辺りまで伸びたあごひげに、ゆったりとした中東風の衣服をまとった姿。そのいでたちは、私(記者)の中にあったムスリムのイメージと、ぴったり一致します。
一方で「そもそもイスラム教とは何か」ということについては、断片的な知識しか持ち合わせていません。まず、その点から切り出すことにしました。
「理論的には、『(唯一神)アッラーのほかに神はない』ということが基本です。ここで言う神は、崇拝の対象になります」
「さらに(神のメッセージを受け取り、伝える)預言者ムハンマドがいる。これらを信じれば、他のことは気にしなくていい。その意味では、非常に気楽ですよ」
イスラム教と聞くと、まず戒律のことが頭に浮かびます。よく知られているのは、「一日に5回礼拝する」「豚肉やお酒を避ける」といった、聖典「クルアーン(コーラン)」に基づく義務でしょう。
入信していない私にとっては、正直なところ、やや窮屈な印象もあります。
「大半の信徒は、親や社会がイスラームだから、それにならっています。義務も考えて果たすというよりは、周りに合わせているだけ、ということが多い。慣習化されているんですね。だから取り立ててつらいわけではない」
「より本質的で重要なのは、”自分に何ができて、何ができないか”、そして”何をすべきか”について知ることです」
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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