愛知県で2017年、19歳だった実の娘に性的暴行を繰り返したとして、準強制性交等罪に問われた父親(50)の上告審で、最高裁第三小法廷(宇賀克也裁判長)は父親の上告を退けた。一審の無罪判決を破棄し、求刑通り懲役10年とした二審・名古屋高裁判決が確定する。4日付の決定。
裁判では準強制性交等罪の成立要件で、身体・心理的に抵抗するのが著しく難しい「抗拒(こうきょ)不能」だったと言えるかが争点になった。
一審・名古屋地裁岡崎支部は娘の同意がなかったことは認めつつ、性交を拒んだ時に「極度の恐怖」を抱かせる暴力は受けなかったなどと指摘。「人格を完全に支配されていたとまではいえず、抗拒不能と断定するには合理的疑いが残る」と述べ、無罪とした。
高裁は、一審が抗拒不能について「人格の完全支配」と狭く定義したことについて「法解釈を誤っている」とした上で、中学2年から性的暴行を受け続けてきた実態を「十分に理解していない」と指摘。精神科医の証言をふまえて「女性は繰り返し性的虐待を受けて無力感を覚え、抵抗する意思をなくしていた」と罪の成立を認めた。(阿部峻介)
■一審は無罪、進む法改…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル