埼玉県の隣接する市で31日午後、相次いで発砲音が響いた。戸田市の病院で拳銃が撃たれ、蕨(わらび)市の郵便局に男が立てこもった事件。小中学校では子どもたちが待機を強いられ、帰宅できない住民向けに避難所も開設された。事態が動いたのは、深夜だった。
立てこもってから8時間後の午後10時20分。蕨郵便局前に止まっていた警察車両の周辺が慌ただしくなった。警察官数人が、郵便局内に入っていく。警察官はフェースガードや防護衣を身につけており、周辺には緊張が走った。
容疑者確保が報道陣に伝えられたのは、その直後だった。
県警によると、郵便局から約1・5キロ離れた戸田中央総合病院病院近くで、午後1時13分ごろ、「拳銃のようなものを持った人がバイクで走り去った」と通報があった。
病院に勤務する女性は、「パン」という乾いた音を聞いた。初めは車いすのタイヤのパンクかと思ったが、すぐに「今いる部屋から出ないで」と院内放送が流れ、外来患者へ早めの帰宅が呼びかけられたという。
その後、男は蕨郵便局に立てこもった。
午後2時半ごろ。蕨市の防災無線が次々と流れた。「バイクに乗った犯人が銃を持って逃走しています」「蕨市に逃げてきて、郵便局内で立てこもっています」
現場は旧中山道沿いの住宅街。郵便局の向かい側に実家がある40代の女性は、郵便局前の路上にパトカーとミニバンが止まり、車両の後ろに2人ずつ警察官が身を隠して郵便局の方をうかがっていたのを見た。
郵便局の中では、窓口のカウンターの前を行ったり来たりしている男の姿がガラス越しに見えた。「拳銃を下ろせ」「手を挙げろ」。警察官らしき大声が何度か聞こえ、叫び声も響く。
午後3時前後、「バーン」という発砲音が1発聞こえた。「大きな爆竹みたいな音だった」と言う。
近くで米店を営む70代女性は、午後3時前に警察官から戸締まりを呼びかけられ、事件を知った。付近には防護盾を持った警察官が行き来するなど、騒然とした様子だったと言う。
容疑者が立てこもる郵便局の…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル