昨夏の参院選広島選挙区を巡る公選法違反事件で秘書らが広島地検に逮捕された自民党の河井克行前法相(広島3区)と妻の案里氏(参院広島)が、違法報酬疑惑などが表面化した昨年10月以降、「捜査に支障を来す」として疑惑について口を閉ざし続けている。有権者に対する説明責任を果たさない理由として、許されるのか。元検事や大学教授ら法律の専門家に聞いた。
▽専門家「逃げ口上」「政治責任は別」
<捜査中であり、事実関係に関するコメントについては現時点で差し控えさせていただく>
夫妻は秘書らが逮捕された3日、事務所を通じ、一言一句同じ談話を出した。その後、克行氏は公の場に姿を見せず、国会審議に復帰した案里氏は報道陣の質問に一切答えないでいる。
「言いたくないから、ごまかすための逃げ口上だと思う」。検事を7年務め、現在は東京で法律事務所を営む牛江史彦弁護士には、そう映った。
検事時代、多くの容疑者と向き合った。「逮捕前にマスコミへいくら話そうとも、捜査機関の取り調べには関係ない」と話す。
一方で、「捜査中」を盾にする夫妻の姿勢は全否定できないとの声もある。
「情報を制御した方が裁判になった場合、リスク回避になる。合理的な選択だ」と指摘するのは、刑事訴訟法を専門とする一橋大大学院の緑大輔教授だ。その上でこう続けた。「(法廷戦術と)政治的な責任を果たすこととは別の問題ではないか」
河井夫妻は昨年10月末から臨時国会を欠席し、12月に閉会するまで続いた。克行氏は約323万円、案里氏は約194万円の冬のボーナスを受け取った。これまでの夫妻の姿勢を、広島大大学院の森辺成一教授(日本政治史)は「政治活動が十分にできておらず、有権者の信頼に応えられていない」とみる。
前提にあるのは国会議員の職責の重さだ。「有権者から投票を通じて負託を受け、高額な歳費を受け取っている。職務を遂行できない原因が事件や疑惑にあれば、その嫌疑と自分の関わりについて説明責任を課せられている」と指摘する。何より真相を知りたいと思っているのは有権者である。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース