男女雇用機会均等法施行から37年。企業の総合職や一般職で男性と同様に働いてきた女性たち、民間や公務員の世界で非正規で働く女性たち、中小企業やスタートアップを率いる女性たち……。立場は違えど、あらゆる場で女性たちは理不尽な男女格差に直面しています。なぜ、いまだに、この差がなくならないのか。格差をなくすために何をすべきなのか。東京都立大学の阿部彩教授(貧困・格差論)に聞きました。
――様々なデータにあらわれる根強い男女格差をどう見ていますか。
私が大学を卒業したのは男女雇用機会均等法が施行された1986年。当時は、「私たち均等法第一世代が管理職になるくらいの時には、男女格差の問題はなくなっているだろう」と思っていました。それから30~40年経ち、キャリア終盤となるのに、変わっていません。
一部の人はそれでも、「初の女性」というものを背負って上にのぼっていきましたが、ほんの一握り。その道すらなかった以前よりはいいとは思いますが、進むペースがあまりにも遅すぎる。子どものいない、シングルでバリバリのキャリアの人であっても格差がある。もっと画期的に動かしていかなければならないと思います。
男女間の賃金格差は正社員同士でもまだ大きく、日本は先進国の中でも差が開いています。そのうえ、女性は当初は正社員として就労しても非正規に移ってしまう。この両輪の問題があります。
このため、高齢期の貧困率は女性が高く、その男女格差はむしろ広がっています。厚生労働省の国民生活基礎調査をもとに年齢別・男女別で相対的貧困率をはじくと顕著です。
記事後半、阿部教授は若い世代の女性たちに向けて「だまされるな」と強いメッセージを送ります。格差が縮まらない現状を変えるため、思い切った施策が必要だと提言します。
――なぜこうした状況が放置されているのでしょうか。
女性施策の多くが「子育て支…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル