「何としても守られるべきだったし、救える命であった」――千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さん(当時10)が死亡した虐待事件(2019年1月)をめぐり、県の検証委員会がまとめた報告書は、こう無念さをにじませた。
事件後の報道で一連の行政対応のミスが伝えられると、テレビの情報番組やネット上で厳しい批判の声が相次いだ。一方で、急増する児童虐待の件数に対し、児童相談所の児童福祉司などの人員態勢が追い付かず、「現場は疲弊している」との指摘も出た。多岐にわたる論点・問題点のうち、児童福祉司の増員に向けた現状を追った。
■「人員増を含む体制強化が追いつかず、人材育成は後手に回り…」
千葉県が設置した、外部有識者による検証委員会(川﨑二三彦・委員長)が検証報告書をまとめて県に提出したのは2019年11月25日。県の児童相談所や野田市(報告書では「A市」)などの対応について、「基本ルールが徹底されておらず」「ミスがミスを呼び、(略)漫然と推移した末に痛ましい結果を招いたと言わざるを得ない」と批判した。
ミスの具体例としては、心愛さんが父親の暴力を訴えた学校アンケートを市教委が父親の要求に応じて渡した件や、医師の診断などを踏まえ「(心愛さんの)一時保護は(その時点で)解除すべきでなかった」(報告書)のに、児相が解除してしまったことなどに触れている。
こうした事例は、父親が1月末に逮捕(心愛さんへの傷害容疑、のちに傷害致死罪などで起訴)された後、比較的早い段階からメディアで報じられていた。こうした一連の行政対応は批判を集め、J-CASTニュースでは「千葉の女児死亡で『児相職員』バッシング 心理学博士に『過熱の理由』を聞く」(2月6日)などの記事を配信した。
11月の報告書は、一連の経過の「背景」について「さまざまな課題が重層的に絡んでいた」と指摘、「(担当した児相も)人員増を含む体制強化が追いつかず、人材育成は後手に回り、個々の職員は基礎的な知識を得る間もなく日々の対応に追われ、原則的な対応すら守れない状況があった」などと分析。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース