「教員がこんなことしておかしいですね」 でもジビエを勧めたわけ

 高知市立高知商業高校ジビエ部の生徒らが昨年末、首相官邸に招かれた。

 農林水産省などが主催する「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」の選定証授与式。ジビエ部は特別賞(ジビエ賞)に選ばれていた。部長の池知美優さん(2年)は「高校生は私たちだけだったので緊張した。貴重な経験になった」と話す。

 ジビエ部は通称で、正式にはジビエ商品開発・販売促進部。イノシシやシカの肉を使ったソーセージなどを開発し、販売利益を森林保護活動に寄付している。

 佐々木翼教諭(38)が2017年に、担任のクラスの生徒が地域課題研究で取り組むテーマを考えている時、「ジビエとかあるで」と勧めたのがきっかけ。高知県は森林率が全国1位で野生鳥獣による農林業被害も大きい。捕獲したイノシシやシカの肉を活用すれば、「マイナスをプラスに変えられる」と紹介した。

 生徒たちはシカ肉を使ったカレーパンを地元のパン屋と開発し、イベントで販売した。翌年は別の生徒らが鹿ジャーキーを作った。19年に同好会、20年には部活動として学校から認められた。

 コロナ禍で制約はあったが、高知市内でジビエレストランを出し、シカ肉チャーシューのラーメンや、オムライスを売り出した。21年には市役所の食堂でも、イノシシのカレーライスなどを提供した。

 ジビエに抵抗のある人が多いことも来客アンケートから分かった。シカやイノシシの肉に地元特産の「土佐あかうし」や「四万十ポーク」を混ぜてつくった「土佐オールスター☆ソーセージ」は、県内外で売れるヒット作になった。

 活動をする中で、部員たちは森林被害を学び、ジビエの販売で得られた利益を、食害を受けた森林の防鹿ネットや植樹費用に充てられる保護活動に寄付するようになった。

 佐々木さんがジビエの活動に力を入れるのには理由がある。

 昨年12月中旬、香美市の山…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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