2017年7月の九州豪雨被災で一部区間の不通が続くJR日田彦山線の復旧方法を巡り、福岡県東峰村の渋谷博昭村長は26日、鉄道復旧を断念し、JR九州が示す案よりバス専用道を延伸した県提示のバス高速輸送システム(BRT)案を容認する意向を正式表明した。同県添田町、大分県日田市とともに沿線3自治体の足並みがそろい、不通区間はBRTで復旧する見通しとなった。福岡県の小川洋知事と栗原渉県議会議長は近く、JR九州の青柳俊彦社長と会談し、BRT延伸案での復旧を求めて交渉に入る考えだ。
渋谷村長は26日夜の住民報告会で、他の沿線自治体がBRTへの転換に柔軟姿勢であることに触れ、「東峰村だけが鉄道復旧を要求し続けても、現実的に不可能と判断した」と説明。「断腸の思いで苦渋の決断をした」と述べた。
JR九州のBRT案は不通の添田(添田町)-夜明(日田市)間29・2キロのうち、彦山(同町)-筑前岩屋(東峰村)間7・9キロの軌道を整備してバス専用道とし、その他は一般道を走る。これに対し、小川知事は24日の東峰村での説明会などで、専用道を大分県境に近い宝珠山駅(同)までの14・1キロに延ばし、村内全区間を専用道とする案を示し、理解を求めていた。
復旧方法を巡っては、JR九州や沿線自治体でつくる復旧会議が2月の会合で、BRT案を軸に検討し、3月末までに開く次回会合で結論を出す方針を確認。東峰村が強く反発する中、福岡県議会は「沿線の首長や住民との協議が不十分」と批判し、小川知事が3月中の結論を断念、会合自体が先送りとなった。自民党県議団はBRT専用道延伸を含む独自復旧案を示し、県に再考を求めていた。
東峰村の表明を受け、小川知事は「ご決断の重みをしっかりと受け止め、一日も早い復旧を成し遂げるべく、JR九州との協議に全力を尽くす」と談話を発表。大分県の広瀬勝貞知事は「大きな前進。沿線住民のためにも、スピード感を持って結論を出していかなければならない」とのコメントを出した。JR九州は「復旧会議の場において、しっかりと協議させていただきたい」と発表した。
(大坪拓也、前田倫之、岩谷瞬)
西日本新聞社
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