135人が20歳の門出…宮城・女川町で成人式
1月12日に開かれた、宮城・女川町の成人式。
女川町では、2019年より9人多い135人が20歳の門出を迎えた。
「新しい女川に生まれ変わるんだ」小5の少年が書いた詩が被災住民の支えに
この日参加した新成人たちは、東日本大震災当時、小学5年生。
式の前、犠牲となった2人の同級生に黙とうがささげられた。
新成人の1人、佐藤柚希さん(20)。
あの日、家族は全員無事だったが、石浜地区にあった自宅は津波で流された。
佐藤柚希さん:
横断幕になっていて、この町立病院の柵のところに。
高台の病院にかかげられた横断幕。
「女川は流されたのではない。新しい女川に生まれ変わるんだ」。
これは、震災から約2カ月後、佐藤さんが女川第二小学校の6年生だった時につづった詩。
佐藤柚希さん:
まず、前向きな気持ちを書きたかったのが一番。自分の家族は無事だったけど、家族が犠牲になった友達もいますし、女川町に居続けることが困難で一緒に卒業できなかった同級生もいます。まずは同級生から、少しでも気持ちを前向きに持っていけたらなと。
震災で落ち込む友達を勇気づけたいとつづったこの詩は、偶然 町の職員の目にとまり、震災の翌年から横断幕としてかかげられ、町民を励まし続けている。
地元の人:
道路を通れば(横断幕を)目にしてましたから。物事は考えようで、前向きでいいのでは。
地元の人:
本当にあの通り。感動しました。やっぱりやる気が出ますよね、あのメッセージは。
「女川町に貢献できるようなひとりの人間に」
震災から7年がたった2018年、佐藤さんは女川町の職員になった。
町の観光PRや、県内外から訪れる人たちに震災の経験を語り継ぐ活動もしている。
12日の成人式。
佐藤さんは代表で「新成人の抱負」を述べた。
佐藤柚希さん:
今 目を閉じると、楽しいこと、辛いこと…さまざまな出会いや別れを経験したと、あらためて感じました。その中で、自分の人生を大きく変えた出来事がありました。忘れもしない、東日本大震災です。活気あふれる街並み、当たり前の日常生活が奪われました。
ある授業の中で、一つの詩を書きました。『女川は流されたのではない。新しい女川に生まれ変わるんだ』。人々が負けずに待ち続ける、新しい女川に住む喜びを感じるために。
わたしは今、女川町の役場職員として業務に励んでいます。業務を通して、震災前の女川と復興していく女川を学んだり、人とのつながりが生まれたり、女川を訪れる学生たちに自分の考えを伝えたいと、今現在もさまざまな経験を積んでいます。
これからもたくさんの経験や知識、思いを大切にして、女川町に貢献できるような1人の職員、ひとりの人間になりたいと思います。
「女川に咲き女川に散る」節目に語る新たな誓い
新成人として、新たな一歩を踏み出した佐藤さん。
これからの誓いを詩で表してもらった。
佐藤柚希さん:
「女川に咲き女川に散る」です。
生まれが女川で、仕事も女川なので、最後まで。仕事も(定年で)終わって、年を取っていくまで、ずっと地元に居続けようかなと。
成人の節目にあたって、学生のときとは違う積極性が求められるので、自分から動いていけるように、誰かの役に立てるような人間になりたいと思います。
(仙台放送)
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