吉村駿
新年の無病息災を祈り、京都市東山区の八坂神社で31日夜、境内の火を持ち帰る年越し行事、「をけら詣(まい)り」があった。午後7時半ごろ、境内3カ所にある灯籠(とうろう)でキク科の薬草オケラに火がつくと、参拝者らが、竹で編んだ「吉兆縄(きっちょうなわ)」に次々と火を移していた。
新型コロナウイルス感染対策で、神社の入り口を東大路通に面する西楼門と、北門の2カ所に限定。境内は一方通行にし、31日深夜は露店の営業もなかった。
同神社によると、をけら詣りは江戸後期に始まり、コロナ禍前は例年約25万人が訪れていたという。授かった「をけら火」を、火種にして雑煮を食べると、1年を健康に過ごせると言われている。参拝者らは、火が消えないように、吉兆縄をぐるぐると回しながら持ち帰った。
権禰宜(ごんねぎ)の東條貴史(たかふみ)さん(35)は、「をけら詣りは、疫病退散の御利益がある八坂神社で脈々と続いてきた神事。新年こそは、一刻も早くコロナが終息することを願っています」。
学生時代を過ごした京都で年越ししようと名古屋市から訪れた早戸嘉則さん(46)は、「今年はコロナで週1回しか出社できず人との距離ができてしまった。来年はコロナや病気にかからないのはもちろん、人とのコミュニケーションも早く元に戻ってほしい」と話した。(吉村駿)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル