28日に兵庫県姫路市で開かれた第72回関西吹奏楽コンクール(関西吹奏楽連盟、朝日新聞社主催)の高校の部Aには、2府4県の代表24校が出場。新型コロナ禍やウクライナで長引く戦争など、様々な不安が渦巻く中でも、高校生がはつらつとした演奏を聴かせた。
中でも3年ぶりに出場した淀川工科(大阪)は、舞台で「音楽をする喜び」を爆発させ、関西代表に選ばれた。
同校は昨年、長年指導していた丸谷明夫さんが闘病中だったため、コンクールを辞退した。丸谷さんは昨年末に亡くなり、部員たちは悲しみにうちひしがれたが、部長の和田有生(ゆうき)さん(3年)は「新しい転機と思って、もう一度、一から部を作り上げよう」と前を向いた。
自由曲は、同校が伝統的に演奏し、「定番」としてきた「大阪俗謡による幻想曲」。一人ひとりの演奏技術力の高さに裏打ちされた、生き生きとした音が響き渡り、祭りばやしが会場を沸かせた。本当の演奏力や表現力が問われる弱音の部分では、各パートが集中して音を聴き合い、丁寧な和音進行に支えられたソロが、観客を魅了した。
演奏が終わると、会場はこの日一番の拍手がわき起こり、感嘆の声が漏れた。フルート担当の井神日菜歌(ひなた)さん(3年)は「『新淀工』として、過去一番の演奏を目指した」。クラリネットの西田優祐さん(同)も「お客さんにお祭りを楽しんでもらえた」と笑顔だった。
筆者の河原田慎一記者は東京芸術大大学院の音楽学専攻を修了。記事後半では、金賞の明浄学院、大阪桐蔭、尼崎双星、銀賞の京都両洋、銅賞の洛南、立命館守山、京都共栄学園、龍谷大平安の演奏について取り上げています。
調和の取れた大阪桐蔭、管弦楽の響きを表現した尼崎双星
金賞を受賞した明浄学院(大…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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