大学入試の日程はどうなるのか――。大学は大半が予定通りの実施を求めるものの、コロナ禍の休校で地域や学校ごとの学習の進度に差が出ている高校側には、後ろ倒しを求める意見も根強い。文部科学省は高校や大学の意向を聴いて近く日程を発表する方針だが、なかなか決まらない状況に、受験生は不安を募らせている。
「学習機会を失った全受験生が安心して公平な受験に臨めるよう、入試全体を1カ月程度ずらすことを求める」。国公私立の約5300校が加盟する全国高校長協会(全高長)が16日夜、急きょ東京都内で開いた記者会見で、萩原聡会長は訴えた。
文科省の依頼で今月上旬に全高長が全国の高校に行ったアンケートでは、大学入学共通テストを予定通り来年1月16、17日に実施すべきだと答えた高校が約7割、2週間や1カ月程度の後ろ倒しを求める高校が約3割だった。だが全高長は13日、47都道府県の代表者のオンライン会議で、今秋に始まる総合型選抜(旧AO入試)なども含め、入試全体を1カ月遅らせるよう、文科省や大学の各団体などに求めることを決めた。
休校期間の長さやオンライン授業の活用状況によって、高校の考えは割れている。全高長の13日の会議でも「しっかり指導したうえで進路を考えたい。後ろ倒しを文科省に要請してほしい」(神奈川県の高校)、「年度内に入試を終わらせるため日程をいじらない方がいい」(宮城県の高校)と、正反対の意見が出された。それでも後ろ倒しを求めた理由について、全高長の石崎規生・大学入試対策委員長は「一番厳しい状況の地域に配慮して、全ての受験生が公平公正に受験にのぞめる態勢にするべきだと合意した」と説明する。
一方、約1400校が加盟する日本私立中学高校連合会は、共通テストの予定通りの実施を望む。全高長とは異なる考えであることについて、吉田晋会長は「1カ月遅らせれば、私大の日程なども影響を受け、受験生も大学も混乱する。感染拡大したら、さらに延ばすのか。予定通り1月で構え、感染が広がった場合の予備日などの対策を立てるのが現実的だ」と話した。
日程延期、受験生の意見は? 「どちらかといえば…」
全高長は16日に文科省に要望書を提出しようとしたが、私立中高連と調整するよう求められ、受け取ってもらえなかったという。
受験生はどう考える…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル