北九州市小倉北区の旦過市場一帯で昨年8月に起きた火災で焼失し、再建を目指している老舗映画館「小倉昭和館」の地鎮祭が12日、映画館の跡地で執り行われた。13日に着工し、12月に完成予定。火災から約8カ月という早さで再建のめどが立ったことに、関係者は「ここから再スタート」と思いを新たにした。
新たな昭和館はもともとあった同じ場所に再建される。建物は地権者の不動産会社が建て、昭和館は建物と土地を借り、設備を整えて運営する形をとる。
この日の地鎮祭には、工事業者や旦過市場関係者ら約30人が出席。昭和館の樋口智巳館主(62)は、父の昭正さん(89)、樋口さんの次男・直樹さん(28)と親子三代でくわ入れを行い、安全を祈願した。
樋口さんは「感謝の思いでいっぱいです。昨年8月の火災の時は、再建する日が迎えられるとは思ってもいなかった。この更地から昭和館の物語の続編が始まります。皆さんに見守っていただきながら、再開を楽しみに待っていただきたい」と語った。
映画館再建を決めた不動産会社の代表は「『映画文化の灯を消さないで』というファンの要望が強くあり、再建を決めた。みなさんの気持ちに沿った、愛される映画館をつくってほしい」。北九州市の武内和久市長は「いよいよ小倉昭和館奇跡の復活に向けたクランクイン。昭和館や旦過地区全体の復活が、市の元気につながっていく。しっかり応援していきたい」とエールを送った。
12月の北九州国際映画祭に合わせた再建を目指しており、12月13日に開館予定。以前より規模を縮小して建物は平屋建て、客席は約135席の1スクリーンにする。さまざまなイベントに対応できるよう舞台を広く設け、ロビーを開放したパブリックスペースも備える予定だ。
スクリーンや映写機、座席といった内装費用に充てるため、小倉昭和館は4月30日までクラウドファンディング(CF)で寄付を募っている。3千万円が目標で12日夜の時点で、約1700万円が集まっている。寄付はCFサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」のページ「小倉昭和館再建~まちの小さな映画館、奇跡の復活を夢見て~」からできる。
義援金のための口座も開設しており、北九州銀行本店営業部、普通5286977、小倉昭和館株式会社で受け付けている。(安斎耕一)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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