「批判的、暴力的な言葉が(SNS上で)拡散され、あふれていく様子は恐ろしい」
ジャーナリストの伊藤詩織氏(31)が21日、自民党の杉田水脈(みお)・衆院議員(53)に名誉を傷つけられたとして東京地裁に提訴した裁判に出廷し、意見陳述書を読み上げた。
伊藤氏は、自身が訴えている性被害をめぐって「枕営業の失敗」「ハニートラップを仕掛けた」などと中傷するツイッターの複数の投稿に、杉田氏が「いいね」を押して拡散したとして損害賠償を求めている。
この日の第1回口頭弁論で伊藤氏は、ハニートラップなどの言葉は「私にとってセカンドレイプだ」と指摘。杉田氏がそうした発言の拡散を手伝ったことについて、「法律を変える力のある国会議員が行ったことに、衝撃、恐怖さえ感じる」と述べた。
杉田氏は9月、自民党本部での会議で性犯罪被害者への支援に絡み「女性はいくらでもウソをつける」と発言し、いったん否定したが、のちに認めて謝罪した。伊藤氏は、この発言についても「今まさに被害を告白したいと思っている人を黙らせ、親に『助けて』と言いたい人にもそれを言えなくさせてしまうものだ」と批判した。さらに「杉田氏が今後、同じような過ちを大切な人にしないでほしいと心から願っている」とも訴えた。
今回の裁判を審理する裁判官には「セカンドレイプに対して私たち被害者がはっきりと『NO』と言えるように、この訴訟と向き合ってほしい」と求めた。
一方、杉田氏側は、請求棄却を求める答弁書を提出した。
伊藤氏は2019年、望まない性行為をされたとして元TBS記者の山口敬之氏(54)を相手取った訴訟の一審で勝訴した。山口氏は判決を不服として控訴している。伊藤氏の告訴を受け警視庁が山口氏を準強姦(ごうかん)容疑で捜査したが、東京地検は嫌疑不十分で不起訴処分とした。(新屋絵理)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル