京都市北部の住宅地に建つ「総合地球環境学研究所」(地球研)は、「未来の学校給食」を、食品サンプルで提示するイベントを開いたことがある。
「気候変動で生物多様性は失われ、野菜や果物の栽培は難しくなりました」「人のタンパク源はゲノム編集をした昆虫です。わずかな家庭菜園がインスタント食品に栄養や彩りを添えています」
「未来」の説明とともに、国連食糧農業機関(FAO)も推奨する「昆虫食」や、栄養をとるためのサプリメントの錠剤など4種類のメニューが並んだ。
なぜか。その食事を食べることで、地球温暖化を抑えられるかどうかなどを調べたシミュレーションの結果を、わかりやすく紹介するためだ。
考案したスピーゲルバーグ・マックス研究員は、食料の生産流通システムの持続可能性を研究する。「給食は世代間で共有しやすい話題で、考えてもらうきっかけになる」と話す。
地球研の研究プロジェクトはその名の通り、地球規模の問題に挑む研究が多い。地球規模といっても遠い世界の話ではなく、給食のように私たちの暮らしや将来にも密接に関わる。
開発や飢餓・飽食などが複雑に絡む食料の生産流通システムの研究のほか、し尿処理など新興国では十分に整備されていない公衆衛生の改善、熱帯地域でパーム油のために栽培されるアブラヤシ林の火災調査など、研究者は世界各地を駆け回る。
公衆衛生の研究では、国内の高…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル