大畠正吾
大分県宇佐市にUターンした元公務員の男性(72)が、集落の住民から「村八分」の扱いを受けたとして元区長らに慰謝料を求めた訴訟で、原告男性と被告の元区長3人がいずれも控訴しない方針を決めた。5月25日の判決で大分地裁中津支部が元区長3人に支払いを命じた計110万円については集落の全13戸で分担するという。
原告側、被告側双方への取材でわかった。被告の1人によると、集落は先週末に寄り合いを開いて今後の方針を協議。控訴せず、各戸が分担して110万円と金利などを負担することを決めた。これと別に1人の被告に支払いが命じられた33万円については、被告本人が負担することになった。被告の宇佐市も控訴しないとみられる。
寄り合いでは「控訴すればまた数年ごたごたが続く」などの意見が出たという。これまで途絶えていた原告男性への集落行事の連絡については、区長がいないので集落からはせず、双方の代理人弁護士を通じて行う方針だという。
判決などによると、原告の男性は兵庫県から宇佐市の山間地にUターン。農家への交付金を巡って集落の住民らとトラブルになった。住民らは2013年、男性が住民票を移していないことを理由に自治会から除外し、断交することを全員一致で決議。その後、男性への行事連絡や市の広報誌の配布がなくなった。
男性は18年に330万円の支払いを求めて提訴。判決は元区長らの行為を「『村八分』として共同不法行為を構成する」と認め、3人に共同で110万円を支払うよう命じた。また、その中の1人が嫌がらせをしたとして別に33万円の支払いも命じた。(大畠正吾)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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