「東京は日本のリスクそのもの」 吉見俊哉教授が期待するものとは

有料記事

聞き手・滝沢貴大

 変わり続ける首都・東京。東京という都市の実相を研究してきた社会学者の吉見俊哉教授に、東京の今や今後について聞いた。

     ◇

 今の東京はあまりに巨大です。東京圏の人口は約3700万人で、日本の総人口の4分の1以上。日本の総資本の6割は東京で、国の機能もそうです。

 東京はその巨大さで、リスクがとても高い都市になっている。端的に言えば、日本のリスクそのものです。

 東京の新型コロナウイルスの感染率は地方と比べて突出していた。それは街自体が「密」だからです。首都直下型地震も含め、様々なリスクに対して東京の危険度は高くなっている。

 東京ではオリンピックが2度開催されましたが、直近の五輪で政府や都が考えていたのは、「1964年の五輪をもう一度」ということではなかったでしょうか。かつての成功体験にすがり、成長主義路線、開発路線でしか物事を考えられなくなっていた。東京にこれ以上集中しても、ほかの地域が衰退し、いずれは東京も支えきれなくなるのに。

 では、東京はどうあればいいのでしょうか。

 右肩上がりの成長を前提としたかつての開発路線とは、全く違う考え方で都市をリデザインする。考えていくべきはそこだと思います。

 戦後、東京には首都高ができ、超高層ビルが建ち、地下鉄網も整備された一方、失ったものがたくさんあった。そういった「価値あるもの」を復興させることから始めるべきです。効率だけでなく、生活の質がより豊かな都市をめざすなら、これまであった機能を別の機能に転換していく必要があります。

 その一例は、高度成長期に廃…

この記事は有料記事です。残り975文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment