東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出について、朝日新聞が岩手、宮城、福島3県の計42市町村長に尋ねたところ、6割近くが「容認できない」「どちらかというと容認できない」と回答した。国内外の理解が不十分とする首長が最も多かった。福島と隣接する茨城の計9市町村では、反対姿勢を示した首長はいなかった。
対象は、津波被害に遭った沿岸部や原発事故で避難指示が出された計42市町村(岩手12市町村、宮城15市町、福島15市町村)と、茨城の沿岸9市町村。アンケート形式で実施し、2月までに全員から回答を得た。
51人のうち「容認できない」が11人、「どちらかといえば容認できない」13人、「どちらかといえば容認できる」13人、「容認できる」2人、無回答・答えられないが13人だった。
容認できない理由を複数回答で尋ねると「国内外の理解が不十分」が20人、「多くの漁業者が反対している」14人、「風評被害や賠償への国や東電の対策が不十分」12人と続いた。
野田武則・釜石市長は「東電の姿勢や政府の取り組みが不透明で信頼を置けない」とした。
東北電力女川原発を抱える宮城県女川町の須田善明町長は容認「できる」「できない」の二つを選択。「処理水は安全性に問題はないが、漁業者をはじめ県民らへの理解活動が不十分」とした。
福島県内首長「どの処分方法でも県に過度な負担」
福島県では6人が無回答だった。どちらかといえば容認できると回答した遠藤雄幸・福島県川内村長は風評被害への懸念を示しつつ、陸上保管のままでは処理水のタンクを抱える双葉、大熊両町の復興を妨げると指摘。「丁寧な説明を尽くさない限り、いかなる処分方法を選んでも福島県に過度な負担を強いる」と主張した。
岩手、宮城、福島の42市町村長には、復興状況も質問。7割が今後の復興に不安を感じると回答した。
不安の理由を複数回答で聞いたところ「少子高齢化がいっそう進む」が79%で最多。「インフラの維持管理が重荷になりそう」が38%、「人口の転出に歯止めがかからない」が33%、「コミュニティーの再生が進まない」が31%だった。
地域により回答に違い
国が来春にも開始する方針を…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル