「核の傘」依存、動かぬ日本政府 オブザーバー参加に期待の声も 注目される菅政権の判断(西日本新聞)

 自国の安全保障を米国の「核の傘」に依存する日本政府は、核兵器禁止条約の批准国・地域が着々と増える中でも同条約と距離を置いてきた。唯一の戦争被爆国として核廃絶を訴えながら、今後も関与を避けるのか。条約発効で核保有国と非保有国の反目が表面化しかねないことから、国際社会には締約国会議への日本のオブザーバー参加を期待する声もあり、菅義偉政権の判断が注目される。 【写真】平和祈念像の前で開かれた集会には、被爆者や高校生平和大使ら約200人が集まった  「わが国の(核軍縮の)アプローチと異なるので、署名しない考えに変わりはない」。批准数50の到達が秒読みとなった23日、加藤勝信官房長官は定例記者会見で、日本政府として同条約の批准に否定的な見解を改めて示した。  日本の安全保障は同盟国である米国の核によって他国の核使用をけん制する「核抑止論」に依拠する。核の保有や使用自体を禁じる同条約に批准すれば、自ら核抑止力を放棄することになり、核開発を進める北朝鮮などとの軍事バランスが崩れかねない-というのが政府の見解だ。  ノーベル平和賞につながる国際的なうねりを生んだにもかかわらず、政府は同条約への言及を徹底的に避けてきた。国連で条約が採択され各国の署名・批准が始まった2017年以降、広島、長崎の平和式典あいさつで首相が取り上げたことは一度もなく、政府が国連に毎年提出している核兵器廃絶を目指す決議で言及したこともない。

 一方で政府は「核拡散防止条約(NPT)」を重視する。米英仏ロ中の5カ国だけに核保有を認め、その代わりに核軍縮を義務付ける内容だ。これは米国の核保有と矛盾しない。外務省関係者は「核兵器を持つ国がある以上、NPTの枠内の現実路線で徐々に減らすことが重要だ」と論点をずらす。  それでも核保有国と非核保有国の「橋渡し役」を自任する日本への期待は大きい。  国連で軍縮担当上級代表を務める中満泉事務次長は8月、日本記者クラブで会見し、核兵器禁止条約の締約国会議などへのオブザーバー参加を日本政府に呼び掛けた。広島市の松井一実市長、長崎市の田上富久市長も同様の考えを示している。今月21日には、与党として批准しない方針を共有する公明党の山口那津男代表が、オブザーバー参加の検討を茂木敏充外相に直接要請。25日のNHK「日曜討論」では野党各党も参加を促した。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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