総理主催の「桜を見る会」をめぐって、反社会的勢力が出席していた問題が浮上している。さらに反社会的勢力の定義について、政府が10日「“反社会的勢力”については、その形態が多様であり、その時々の社会情勢に応じて変化し得るものであるから、あらかじめ限定的かつ統一的な定義は困難であると考える」と閣議決定したことがさらなる波紋を呼んでいる。
実は第一次安倍政権下の2007年6月、“企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針”との政府指針が示されており、そこでは「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人である」と定義されている。このことから、菅官房長官には「政府見解を変えたのではないか」との質問も飛んだが、菅長官は「全くそうした事実はない」と回答。“もともと定義が困難な用語だった”との認識を示した。
こうした対応に、ネット上には「反社のパーティーに出た芸人さんはテレビに出られなくなったのに」「ヘタに定義づけしたら、定義をクリアしたウチは反社じゃないって言い張ることができる」「社会の変化で“反社”の意味合いも変わるなら、今すぐに現状での定義をしてほしい」といった批判の声が上がっている。
12日のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した元山口組顧問弁護士の山之内幸夫氏は、「反社という言葉が頻繁に使われるまでには至っていないし、概念が曖昧だ。何となく感じるのは暴力団、詐欺集団、そういう人たちのことをとりあえず指しているというところだろうか。私の見解は、個人ではなく組織犯罪の一つの形態で、その中で暴力の威嚇力を背景に生計を立てている、そういう組織のことだ。そして、能力の劣る人を手玉に取るような詐欺的な手法をもって生計の手段にしている組織犯罪。こういうものも反社ということになるのではないか。2007年の方針では、特に暴力団の民事介入を抑えないといけないということが念頭にあったと思う。今以上に法の網をかけて規制するのが最も有効だという段階になってきたら、きっちりとした反社の定義は出てくると思う」と話す。
その上で、「今でも名簿として比較的確立しているのは暴力団だけで、後は噂の域を出ない漠然たるもの。そういうものも法律で反社と決めてしまえば一律に規制することはできるが、そうすると、その人たちに対する差別は合理的な差別になる。だから暴力団の枠に入った人たちは銀行口座を作れない、マンションを借りられない、車を買えない、携帯電話を買えないということになり、差別しても構わない、子どもは学校でいじめられるという風潮が生まれていく。警察庁が把握している全国暴力団組員名簿は相当現実とずれていて、辞めた人もものすごく混ざっている。やはりやくざであることが分かってしまうと社会との軋轢がきつくなり、生活ができない。すると潜在化していく」と指摘した。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース