新型コロナウイルスの影響で思うように活動できないまま卒業していった吹奏楽部員たちが、楽団を結成した。出身校の枠を超えて50人あまりが集まり、今夏に故郷の茨城で演奏会を開く。突き動かしたのは、「このままでは終われない」という思いだった。
2020年3月、圓谷夏音(つむらやなおと)さん(19)=北海道大2年=は、茨城県立水戸第一高校の2年生だった。吹奏楽部ではテューバを担当し、指揮者をしていた。
全国の小中高が一斉休校になり、部活動もできなくなった。毎年3月末の定期演奏会や学校祭は開けず、5月には吹奏楽コンクールの中止が決まった。
3年生になっても、休校で友達とも会えない日々が続いた。自分たちには何ができるのか。将来どんなことができたら、面白いのか。そんなことを一日中考えていた。
当時、個々が自宅などで録画した演奏動画を編集して一つの曲に仕上げるリモート合奏が流行していた。その動画を見ながら「いいな」と思う一方で、別の思いも抱いた。
「本当にめざしたいのはこれじゃない」
コロナの前は、音楽を通じて…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル