第71回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門に濱口竜介監督の「偶然と想像」が選ばれた。濱口監督は、コレエダ、クロサワ(黒沢清)に続く才能として海外からも注目されている一人だ。世界中から応募があるなか、厳選された作品(今回は15本)で競うコンペ部門は映画祭の華。世界3大映画祭での初受賞にも期待がかかる。
「偶然と想像」は、短編3話から成るオムニバス映画。タイトルにもある“偶然”と“想像”をテーマに、モデルの芽衣子(古川琴音)や、大学教授の瀬川(渋川清彦)らの姿を描いていく。
濱口監督にとって、ベルリン映画祭への出品は初めてとなるが、すでに欧州を中心にその名前は広く知られている。2015年のロカルノ国際映画祭で「ハッピーアワー」が最優秀女優賞を獲得。「寝ても覚めても」は初の商業映画ながら、18年のカンヌ国際映画祭で、いきなりコンペ入りを果たした。
ベネチア監督賞「スパイの妻」では脚本担当
昨年のベネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を獲得した黒沢清監督の「スパイの妻」でも、野原位(ただし)とともに脚本を手がけている。東京芸術大大学院の映像研究科で指導教員だった黒沢監督も濱口映画にほれ込み、その手腕を評価している。
海外の名匠も注目している。昨年4月のこと。朝日新聞の企画で濱口監督に、ベルギーのジャンピエール&リュック・ダルデンヌ監督と鼎談(ていだん)してもらった際には、カンヌ映画祭で最高賞を2度受けている兄弟から「『寝ても覚めても』は美しい作品だ」「公開時に見て、俳優の演技に感銘を受けた」と賛辞が送られていた。「君の映画のファンになった。新作を早く見せてくれ」とせかされてもいた。
今回、ベルリンのコンペ入りが実現した要因には、そうした突出した才能や華々しい実績のほかに、「ロカルノ人脈」があったとも言えるだろう。
昨年の第70回を機にベルリン…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル