新型コロナウイルス対策を厚生労働省に助言する専門家組織は24日、会合を開いた。全国の新規感染者数は減少傾向にあるが、最近はその減少幅が鈍化していると指摘。医療提供体制への負荷、変異ウイルスのリスクなどの不安材料もあげたうえで、「緊急事態宣言の解除がリバウンドを誘発することへの懸念に留意が必要」とした。
首都圏を除く地域で宣言の解除が検討されていることについて、脇田隆字座長は「総合的に判断して解除にはなるのだろう」との考えを示す一方、その場合はリバウンドしないように注視していく必要があると強調した。参加者によると、「(解除した場合に)医療への影響は大丈夫なのか」などと懸念する意見も多く出たという。
直近1週間(17~23日)の全国の10万人あたりの新規感染者数は6・63人で、前週と比べ15%減った。前々週(11・31人)と前週(7・81人)の比は31%減で、減少幅が鈍ってきているのがわかる。
1人が何人に感染させるかを表す実効再生産数は、宣言が続く10都府県は8日時点で0・79と1を下回る水準が続いている。新規感染者数だけでなく入院者数なども減少。ただし、感染すると重症化のリスクが高い60歳以上の新規感染者の割合が3割を超えており、重症者や死亡者数の減少には一定の時間を要するとの見方を示した。
23日時点の内閣官房のまとめでは、政府の分科会が示す新規感染者数などの6指標は全体として改善傾向が続いている。感染状況が2番目に深刻な「ステージ3」やそれを下回るところが大半を占めるようになってきた。
一方、医療提供体制の状況を示す病床使用率と療養者数(10万人あたり)の2指標はまだ厳しい地域もある。東京など首都圏では、最も深刻な「ステージ4」の指標がまだ残る。関西3府県は数値が減少しているものの、大阪と兵庫では病床使用率が依然として高く、「ステージ3」の20%を下回るにはまだ開きがある。
鈍化の理由ははっきりしていないが、会合では、夜間の人出が再び増えていることが一因としてあげられた。ソフトバンクの子会社アグープのデータを分析すると、夜間の繁華街での増加が目立つ。
19~21日の週末の繁華街のある主要駅周辺の人出は多くの地点で増えた。今回の宣言後、午後9時台で最も少なかった週末の人出と比べると、梅田(大阪)で30%増、横浜25%増、天神(福岡)24%増、京都22%増だった。
専門家組織は、宣言が解除されたとしても、「ステージ2」以下をめざし、「飲食の場面など引き続き感染を減少させるとりくみを行う必要がある」と指摘。年度末と年度初めに増える歓送迎会や謝恩会、卒業旅行、花見の宴会などを避けるよう効果的なメッセージの発信が必要だ、とした。(石塚広志、姫野直行)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment