新型コロナウイルスの感染拡大で社会に不安感が漂うなか、メディアには歯切れのよい言説があふれている。強く明確な言葉で「正しさ」を主張する、ブレない政治家やコメンテーターが人気を集め、正義感にかられた“自粛警察”の行動がSNSをにぎわす。しかし、そんな「正しさ」に傾倒する心理に警鐘を鳴らす僧侶がいる。どういうことなのか聞いた。
「正しさは一種の麻薬です」
そう語るのは、滋賀県東近江市の玄照寺(真宗大谷派)の住職をしている瓜生崇(うりうたかし)さん(46)だ。かつて、仏教系のある宗教団体で熱心に活動し、脱会後はカルトからの脱会支援に長く携わってきた。そうした経験から、5月に出した『なぜ人はカルトに惹かれるのか』(法蔵館)で、人がカルトに魅了される心理を考察し、その根底に「正しさへの依存」があると指摘する。
教団に誘われて……
「何が正しいか分からない状況の中で、人は『正しさ』をつかみたいという誘惑にかられるのです。複雑なものを複雑なまま受け入れるのは苦しい。白黒はっきりした明確な答えを与え、疑問を消し去ってくれる存在に惹かれ、依存していきます」。自らもそうした「正しさ」に依存した経験をもつ。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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