東日本を襲った「数十年に一度」といわれる台風19号の上陸から1か月余りが経過した。今回の台風で深刻だったのは水害。中でも注目されたのはJR・東急武蔵小杉駅(川崎市中原区)周辺のタワーマンション(タワマン)が停電した問題だ。あるタワマンでは、エレベーターやトイレが使えなくなるなどし、「タワマンリスクが顕在化した」と騒がれた。しかし、不動産コンサルタントの長嶋修氏は、そういった事態に警鐘を鳴らす。
▽完全復旧には「かなりの時間」
東日本を中心とした各地に多大な風水害をもたらした台風15号、そして台風19号ではタワマンが立ち並ぶ「セレブの街」、武蔵小杉の被害に注目が集まった。川の氾濫によるものではなく、雨水などが下水道から逆流するいわゆる「内水氾濫」だった。
すでに報じられているが、あるタワマンは、配電盤のある地下が浸水。住戸や共用施設が停電するなどの「大被害」を受けた。
一般にタワマンの電気設備などは地下階にあることが多く、そこに水が流れ込むと建物全体の電気系統が機能不全に陥る。
今回は、トイレの水も流せないといった事態にも陥った。エレベーターも停止し、住民の一部は、高層階を階段で上り下りする負担を強いられた。関係者によると「今も設備は完全復旧しておらず、かなりの時間を要する」という。
▽修繕のコストは…
大規模地震に備え、地震の揺れを受け流す「免震構造」や、揺れを吸収する「制震構造」、「高強度コンクリート」の使用といった対策が施されたタワマンは「災害に強い」といったイメージがあった。しかし、あくまで地震に強いというだけで、水害に対しては脆弱であることが判明した。
修繕のコストも莫大なものになりそうだ。電気系統の設備はとりわけ水に弱く、仮に修理できても、一度浸水した設備をそのまま長期的に使用できるかどうかは不透明だからだ。
水没のコストについて、火災保険の「水災補償」で賄えるかどうかは、所有者で構成するマンションの管理組合が、どのような保険に加入しているかによる。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース