新型コロナウイルスの感染拡大で会社が働き手を休ませる場合、法律で支払いが義務づけられているのが「休業手当」だ。ところが、一切払わない「無給休業」も横行している。政府が緊急事態宣言を出せば営業自粛の要請に法的根拠ができるとして、「休業は不可抗力」と手当を払わない動きが増える恐れも指摘されている。だが、そんなことが許されるのか。
中部地方のホテルでパートとして働く女性(57)の3月の給料は、わずか3万円だった。新型コロナウイルスの影響で客足が落ち、勤務シフトはどんどん削られた。休まざるを得なかった分の賃金の補償はなかった。
その間にも新型コロナの感染は拡大。外出の自粛が叫ばれ、観光や宿泊業は大きな打撃を受けた。
「生活費がもうない」
「暇だから休んで」
今月に入り、20日ほど出勤しなくていいとホテル側から言い渡された。せめてシフトが入っている分は働かせてほしいと懇願したが、かなわなかった。
「休み明けには仕事はあるのですか」
そう問うと、電話口の担当者はこう言った。「分からない。見通しが立っていない」。途方に暮れた。「生活費がもうない」
独身で、生計は自らの収入にかかっている。休みたくないのに休まされて、補償は一切ない。50代後半という年齢もあり、都会と違って転職口が簡単に見つかるとも思えない。地方都市だけに、移動のための車の維持費を最優先にせざるを得ず、自炊の友はインスタントラーメンと、知り合いから分けてもらう野菜。友人の家でご飯を食べさせてもらってしのぐこともある。
緊急事態宣言が7日発出される。こんな状況が続いたら、どうなるのだろう。
「もう死ななくちゃいけないの…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル