新型コロナウイルスによって、この国で失われた1千の命。多くの人たちが、看取(みと)ることもできないまま大事な人を奪われた。「誰でも突然、当事者になり得るという現実を知ってほしい」。再び全国に感染が広がるなか、残された家族が思いを語った。
拡大する
感染が判明してからわずか2週間。男手一つで育ててくれた父は逝ってしまった。「あまりにも突然で、感情が追いつかない」
6月1日、関東地方に住む30代の女性はいつものように、北海道に住む父(69)に電話した。
ふと父が「最近、熱っぽい。ごはんの味がしない」と漏らした。きちんと病院に行くよう伝えた。
翌日、電話があった。しょんぼりした声で「コロナだった」。父はその日のうちに入院した。あとから知ったことだが、父が出入りしていた飲食店で感染者が出ていた。
女性は「重症化はせず、そのうち自宅に戻れるだろう」と思っていた。父は週3日は水泳に通って健康に気を使っていたからだ。
だが持病の糖尿病が災いしたか、入院時に37度前後だった熱が、2日後には39度近くまで上がった。
6日に電話すると、「アー、アー」と、しんどそうにうなるだけだった。
8日に《ごはんは食べた?》と…
980円で月300本まで2種類の会員記事を読めるシンプルコースのお申し込みはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment