「残業代なし」の給特法どう変える 公立教員の処遇改善の議論始まる

久永隆一

 公立学校教員の給与増に向けた議論が14日午前、中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の特別部会でスタートした。50年以上続く給与制度の手直しか、抜本改革か。大きく分けて二つの方法論があり、意見が割れそうだ。

 公立学校教員の給与制度を巡っては、教員給与特措法(給特法)で「残業代」は支給せず、代わりに基本給の4%分を「教職調整額」として一律に上乗せ支給するルールが定められ、半世紀以上続いている。残業代が生じないことから、「管理職側に長時間労働を抑制しようという意欲が働きにくい」「『定額働かせ放題』の制度だ」などと批判されてきた。

 こうした制度下で近年、長時間労働や教員のなり手不足が深刻化してきたことを踏まえ、文科省は昨年6月から特別部会での議論をスタート。学校の働き方改革や指導体制について議論してきたが、この日から給特法の改正を含む「処遇改善」の議論に入った。

 部会では、「1971年に制定された教職調整額の4%という数字は、当時の勤務実態調査を踏まえて決まった。改善が必要だ」との指摘や、「私立や国立の学校では時間外勤務手当が出ていることを踏まえ、公立校の教員にも(時間外労働への割増賃金の支払いを定めた)労働基準法37条を適用する必要があり、給特法の抜本改正を検討すべきだ」といった意見が出た。

抜本改革に踏み込むかが焦点

 給与の引き上げはすでに既定路線となっているが、その方法には主に二つの案がある。

 一つは、4%の上乗せ部分を引き上げる方法だ。自民党は昨年5月、10%以上にする提言を公表。有力案とされる。

 一方、抜本改革を主張する立場からは、今はない残業代を支払う案が提唱されている。

 今後の法改正や予算化を見据えれば、文科省が方向性を見いだすタイムリミットは4月とみられる。(久永隆一)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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