街にカーネーションがあふれ、SNSに母親への感謝の言葉が飛び交う5月の第2日曜の「母の日」(今年は5月8日)。しかし、母親を亡くした人たちにとっては、いや応なしにその死を再認識させられる日でもある。
母の日にしんどさを感じてきた20歳の大学生が、亡き母に宛てた手紙をオンライン上で展示する「死んだ母の日展」を開いている。
亡くなった人へのメッセージや思い出の写真をオンライン上で共有し、追悼するサービスを運営している学生ベンチャー「むじょう」(東京)メンバーの中沢希公(きく)さんが企画した。
中沢さんは中学3年のとき、母親を乳がんで亡くした。以来、毎年の母の日は、母親の死を強く実感させられる日になった。
仏壇にカーネーションを供えた年もあったが、そこに母親はいない。SNSを開くと、母親に花を送ったり、料理を作ったりする写真が目に入った。「ありがとう」を伝えられる母親がいる友だちがうらやましい。独りぼっちのような気持ちになった。
幼い頃は甘えん坊で、何をするにも母親と一緒だった。2歳のとき、母親が習っていたクラシックバレエを始めた。
「ママ」
「きくちゃん」
そう呼び合い、一緒にディズニーランドに行ったり、洋服を買いに行ったり。まるで姉妹のようだった。
発病後、母親は入退院を繰り返し、闘病生活は約8年に及んだ。中学生になると、「母親がいつか死ぬかもしれない」という状況を理解できるようになった。だが、信じたくない気持ちもあった。
別れは、14歳で訪れた…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル