「民間シフト」小金井では市長が辞職 東京の公立保育園が果たす役割

 東京都小金井市の西岡真一郎市長は14日、2期目の途中で辞職する。市立保育園の一部を廃園にする条例改正案の専決処分に踏み切ったものの、市議会の理解を得られず、「政治責任を取る」と説明する。保育園を巡って、何が起きていたのか。

 「私が専決処分をしたことで、議会に混乱を招き、市民の皆さんにも大変な不安を与えた。責任をとらなくてはならない」

 専決処分が市議会で不承認となった7日夜。西岡市長は議会閉会後の臨時記者会見でこう語り、辞職を表明した。専決処分は、緊急を要する場合に限り、地方自治法で認められている手続き。同法の「議会において議決すべき事件を議決しないとき」に該当するため、踏み切ったと市長側は説明。議会側の反発を招き、不承認となっていた。

「あまりにも急だ」保護者らに広がった疑問

 「いきなり廃園に転じて、翌春には0歳児の募集をゼロにするという。あまりにも急だった」。市立園に2人の子を通わせる父親(46)は、市が廃園を打ち出した経緯を振り返る。

 市は昨年7月、市立の5園中3園を廃園とする方針を公表した。まず2園で0歳児の募集を次年度から停止するなど、段階的縮小を図るという内容だった。

 ただこれは従来の方針とは大きく異なっていた。市立園は民間委託の検討を経て民営化を進める方向で議論が進んできた。廃園に向けた準備の中止を求める署名活動が程なく始まり、6千人超の署名が市議会に提出される事態となった。

 市は条例改正案の提出を1年先送りし、保護者ら市民や議会に説明を重ねた。しかし、高まったのは「廃園ありきで一方的だ」との批判。市側は待機児童が減る中、認可園などでは定員割れが生じつつある▽市立園の運営経費は民間園の2倍に近く、市の負担が重い▽市立園は老朽化が進み、過去の建て替え事例で5億円近くかかった、などと訴えた。だが、市立5園の父母会が共同で「対話を求める」との要望書を市に出すなど、溝は埋まらなかった。

 廃園対象の園に長男が通う母親(29)は、子どもと過ごす時間や睡眠時間を削って、この問題と向き合ったという。「縮小する園に通う子どもへの影響はどうなるのか。施設老朽化に向けた財政的な手立てをしてこなかった理由は。いろいろと尋ねても満足な回答はなく、『説明を尽くした』とは言えない」と語る。

 1年越しで市が条例改正案を上程した、この9月議会。市の答弁は、従来の説明を繰り返す内容が目立った。市議会厚生文教委員会は、専門家の意見を聴く必要があるとして、継続審査とすることを決めた。「公立園を2園に減らして、保育の質が担保できるのかといった整理が不十分だった」と継続審査に賛成した市議は説明する。

 ただ来春の入園案内は10月に始まる。継続審査を待っていると、廃園対象の園で、0歳児の入園を止めることができなくなる。西岡市長はこの2日後、専決処分に踏み切った。今月12日に市議長あてに出した報告文書では、専決処分について「(議会の)承認が得られなかった場合でも効力に影響はない」としている。井上恵一朗

都内で進む保育園の「民間シフト」

 東京都内では保育園の「民間シフト」が進んできた。今年、認可保育園は3569園と2004年の2・2倍に。一方、公立保育園は1010園から807園に減っている=グラフ。待機児童の解消を狙い、自治体側は民間園の誘致に取り組んできた。

公立保育園を存続すべきか。都内の自治体で対応がわかれています。各地の動きを取材しました。

 背景にあるのは、小泉純一郎

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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