「水、ありがとね」妻思いの高橋さん、温かな言葉最期まで

向日葵クリニック院長 中村明澄さん

 今回取り上げる方は、高橋正孝さん(享年77)です。奥さんや息子さん一家と農家を営んでいる方でした。前立腺がんを患い、余命2カ月と宣告されていました。

 最初に訪問したのは2020年9月14日。歩けなくなって、食事がとれなくなっていました。ステロイドの飲み薬の効果が出て、9月末には、食欲が出て、見違えるように元気になりました。

 訪問すると、1時間ほどお話ししてくださることもありました。「『襟裳岬』をかけると、よく寝られるんだよ」「いまは何だって食えるし、畑にも、ちっと行けるようになったよ」。とてもうれしそうに、高橋さんが書きためてきた野菜の育て方のノートを見せながら、野菜について語ってくださいました。

 実は高橋さん宅は、コロッケ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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