盛り上がりに欠けるといわれる参院選。有権者にはあきらめも漂う。確かに、今の日本は多くの問題を抱え、疲弊している。だが、本当に希望はないのか。若い世代はどう感じているのか。難民と社会をつなぐ活動をしているNPO代表の渡部清花さんに聞いた。
「山手線で7周したこともあるよ」。3年半前、難民と社会をつなぐ活動を始めようとしていた頃、渡部清花は政治的弾圧から逃れるためコンゴ民主共和国から来た男性に打ち明けられた。母国ではNGOでも働いていたエンジニアだが、日本ではまだ就労許可がなかった。切符を買って時間をつぶし、寒さをしのいでいた。「何周回っても、1時間4分。定刻通りで感動したよ」
1杯100円のコーヒーで過ごす24時間営業のファストフード店。少しお金がある時は3倍の値段を払ってイスの柔らかいカフェ。お金がなければ、暖かい空気が出る排気口のそば。難民申請中の人たちと知り合い、それが彼らの居場所だと知った。一見すれば増え続ける外国人観光客に見えるだろう。知らなければ見えない世界がある。知ることで、気づきが広がる。
それは難民問題に限らない。日本はいま、相対的貧困や引きこもりなど、様々な社会問題を抱える。ネガティブなとらえ方も多いが、こうした課題が見え始めたことを、渡部はむしろ「希望」ととらえる。マイノリティー(少数派)の声が可視化され、課題に取り組む人が増えたことの表れでもあるからだ。「マイノリティーの声は、行き詰まった社会を変える光になるかもしれない」
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル