太平洋戦争中にフィリピン沖で撃沈された戦艦「武蔵」の元乗組員らが残した証言の音源が今夏、インターネット上で公開された。元乗組員や遺族らに長く取材してきたノンフィクション作家が、貴重な記録を後世に残そうと企画した。終戦から76年。「体験者の生の声を聞いて、戦争について考えてもらえれば」と願っている。
音源を公開したのは、1992年公開のドキュメンタリー映画「軍艦武蔵」を制作し、同名の書籍を刊行した手塚正己さん(74)=東京都中野区。元乗組員らでつくる戦友会「軍艦武蔵会」の顧問も務める。
手塚さんは90年から2003年にかけて、武蔵の元乗組員や家族らにインタビューし、71人分の音声データを保有している。音源公開のために立ち上げた軍艦武蔵会の関連ホームページ「戦艦武蔵史料保存会」(https://gunkanmusashiarchive.stores.jp/)に今年6月以降、元乗組員と遺族計8人分のデータをアップ。手塚さんとのやりとりを、ほぼすべて文字に起こしたPDFファイルも付けた。
和歌山市出身で、高角砲の指揮官だった西岡敬之さんは、フィリピン・シブヤン海で武蔵が撃沈され、自身が漂流した体験を語った。「波が来てね、波の上に首出そうと思っても頭が上がらんからね。だから、どうしても水飲まんとしょうないわけ。重油混じりの水な」。データは証言時間によって100円~800円。今後、毎月2人ほど公開していくという。
手塚さんには忘れられない元…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル