岡田真実
三重県志摩市の土産物店から売上金を盗んだ疑いで任意の取り調べを受けた伊勢市の女性(64)が、違法な取り調べで精神的な苦痛を受けたとして、三重県に損害賠償を求めた判決の裁判が10日、津地裁であった。竹内浩史裁判長は、黙秘権の侵害など違法性があったと認め、県に70万円の支払いを命じた。
判決などによると、女性は当時パート従業員として働いていた土産物店から売上金を盗んだとして、2017年12月に鳥羽警察署の男性巡査部長から任意で取り調べを受けた。津地検は19年12月、女性を不起訴処分に。女性は違法な取り調べで精神的な苦痛を受けたとして、県に約120万円の賠償を求めていた。
判決では、取り調べを担当した巡査部長は「泥棒に黙秘権があるか」などと発言し、憲法で保障されている黙秘権を侵害したと認定された。さらに「逮捕する」「刑務所に入れる」といった恫喝(どうかつ)的な発言や人格を否定するような発言を繰り返し、自白の強要にもなり得る方法で取り調べたと指摘。「限度を超えた態様で違法である」と断じた。女性は取り調べをひそかに録音していた。
判決について、三重県警は「今後の対応については判決内容を検討した上で判断したい」とコメントした。(岡田真実)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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