10月に消費税率が10%に引き上げられるのに対し、税率を8%に戻す「減税法案」を秋の臨時国会に提出する構想が野党内で浮上している。7月の参院選で「消費税廃止」を訴えたれいわ新選組の躍進を意識しているとみられる。減税はれいわを含む野党共闘の結集軸となる可能性もあるが、増税を主導した旧民主党の流れをくむ立憲民主、国民民主両党の「変節」は批判も集めそうだ。
「上がった以上は、今度は8%に下げ、複数税率をやめる内容の減税、『消費税見直し法案』の提出を検討するのも一案だ」
国民民主党の玉木雄一郎代表は8月30日、記者団にこう表明した。「野党各党で連携してやらないといけない」とも述べ、秋の臨時国会での共同提案に期待感を示した。
立憲民主党の枝野幸男代表も「少なくとも、まずは8%に戻すのを急がせないといけない」(8月28日のラジオ日本番組)と減税に前向きだ。8%を下回る引き下げについても「経済、家計に与える影響を見極めながら判断することになるのではないか」(8月30日の記者会見)と述べており、否定的ではない。
先の参院選では、10月からの消費税増税に「反対・凍結」を訴えた立民や国民に対し、「消費税廃止」を打ち出したれいわ新選組に注目が集まった。
れいわの山本太郎代表は次期衆院選で野党共闘に加わる条件として、消費税率引き下げへの賛同を求めており、「最低でも5%に戻すべきだ」と語っている。立憲と国民が「8%への減税」にかじを切れば、れいわとベクトルがそろい、共闘の環境整備につながりそうだ。
とはいえ、消費税減税を掲げるにはリスクもある。立民と国民は消費税率の10%引き上げを主導した旧民主党の後継政党であり、「無責任」との批判は避けられない。また、衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」を率いる野田佳彦前首相は税率引き上げが必要だとの立場で、同会議を含む立民、国民の統一会派構想の火種となる可能性がある。(千葉倫之)
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