不妊治療で五つ子を妊娠し、子宮内の胎児の数を減らす「減胎(げんたい)(減数)手術」を受けたが、病院側のミスで1人も出産できなかったとして、大阪府の30代の女性と夫が産婦人科医院を運営する医療法人に約2300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、大阪地裁であり、冨上智子裁判長は夫婦側の訴えを棄却した。
判決理由で冨岡裁判長は「減胎手術は相当数行われているが、実施を公表している医療機関はほぼなく、医例報告や文献も少ない」と指摘。夫婦側は、腹部に30回以上にわたって減胎のための薬物を注射され、医院側に注意義務違反があったと主張したが、冨岡裁判長は「医学的知見が一般的に確立していたと認めるに足りる証拠はない」と退けた。
訴状によると、医院で不妊治療を受けていた女性は平成27年4月、妊娠確率を上げるため排卵誘発剤を複数回投与され、五つ子を妊娠。医師の勧めに従い、妊娠8週時の同6月、減胎手術を複数回受けた。しかし、最終的に残った2児も9月に流産し、1人も出産できなかった。
原告側は、女性が妊娠した五つ子の中には一卵性の双子が2組含まれていたのに、医師は術前のエコー検査でそれを見落とした、などと訴えていた。
薬物注入による減胎手術は、母体保護法が定義する人工妊娠中絶に当てはまらず法的な規制がない。また医療現場でのルール作りも進んでいないとの指摘がある。
原告の女性は判決を受け、「結果は残念だが、減胎手術を知ってもらうきっかけになり、手術ルールの整備につながれば」などとコメントした。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース