「火事だ」叫び声で急行 引っ越し作業の3人、救出後またすぐ仕事に

渡辺七海

 「火事だ!」の声で、煙の上がる住宅に駆けつけ、室内にいた80代の女性を助け出した男性3人が8日、奈良県から表彰を受けた。3人は大和郡山市の運送会社社員で、「引っ越しの仕事で体力、精神力を鍛えられました」と笑った。

 表彰を受けたのは、池田悠樹さん(41)、西上武志さん(41)、阪口龍矢さん(34)。

 火事は昨年5月7日午前、桜井市の2階建て住宅で発生。約85平方メートルが全焼した。3人は当時、住宅の近くで引っ越し作業をしており、叫び声などで火事に気付いた。

 住宅の中からは「火消して~!」と女性の声が聞こえた。表の玄関は開かない。阪口さんが裏手の掃き出し窓から中に入った。煙に巻かれた室内で、女性の姿が見えた。すぐ横で炎が上がっていた。女性は、1階の台所とリビングの間に座り込んで動けない状態だった。服なども一部溶けていた。

 女性を抱えて外に出ようとした阪口さんだが、途中でつまずき転倒した。「まずいぞ!」。その姿を見た池田さんと西上さんが室内に入り女性を助け、阪口さんも自力で脱出した。

 8日の表彰式で表彰状を渡した村井浩副知事は、「自分の身を顧みない行動。県民の模範だ」と3人の行動をたたえた。

 女性は病院に搬送され、重傷のやけどを負ったが、命に別条はなかった。3人は脱出後、すぐに仕事に戻った。西上さんは「何も考えず、体が勝手に動きました」と振り返る。池田さんは「やるべきことをやっただけです」と話した。(渡辺七海)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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