北九州市小倉北区の旦過市場一帯で起きた大規模火災で店を失った夫婦が、23日に仮設店舗で営業を再開する。一時は閉店も考えたが、「2人で店がやれるのもラストチャンス」と再起の一歩を踏み出す。
多くの買い物客が往来する旦過市場。すぐ横には、真新しい「旦過青空市場」のプレハブが整然と並ぶ。その一画に今月中旬、「お食事処あらまき」の真新しい緑色の看板がかかった。
6月中旬、店内では、店主の荒巻廣行さん(75)が旧知の料理人とだしの仕込みに奮闘していた。妻の松美さん(54)は「やっぱり主人は料理人。いきいきしている。前の店より狭いが、それでもまたお店ができるのがうれしい」と目を細める。
廣行さんは福岡県築上町の出身。中学卒業後、主に関西の和食店などで修業し、京都の老舗料亭「下鴨茶寮」や外資系ホテルの料理長などを務めた。北九州に戻り、旦過市場にある松美さんの実家の鮮魚店を継ぐかたわら、2018年に市場内に「あらまき」を開店した。念願の2人の店だった。
だが昨年8月10日夜、旦過は2度目の大火に襲われた。
前日から連休だった2人は急いで現場に駆けつけたが、火勢を見守るうちに廣行さんが体調不良を訴え病院へ。肺に穴が開き、緊急手術を受けた。翌朝、店は完全に焼け落ちていた。
さらに火災の2日後、知り合いから連絡があった。
「あらまきが火元の店として…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル