「火薬は戦争ではなく平和のために」 花火師が思い込める10秒の命

 秋田県大仙市の今野義和さん(59)が大切にしている言葉がある。東西冷戦下の西ドイツでその言葉に触れて花火を打ち上げ、「火薬は戦争ではなく、平和のために」と誓った。この夏、日本三大花火大会の一つ「大曲の花火」で、ウクライナとロシアの平和を願う大輪の花火を咲かせる。

 1987年8月、ベルリン市制750年を祝う祭典が開かれた。日本の花火師約20人が招待され、今野さんは多忙な父に代わって海を渡った。花火師1年目のことだ。

 引率したのが「大曲の花火」の大会実行委員長を長く務めた故佐藤勲さん。伝統的な丸い形にとらわれない「創造花火」を発案し、花火の「ショー化」を全国に広めたことで知られる。

 西ベルリンのテンペルホーフ空港で記者会見があり、佐藤さんは現地の報道陣約50人に語った。

地上には壁があるが……

 「ベルリンの地上には壁があ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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