「無理して泣かないで」放火事件の喪失感に向き合うため 続ける集会

 大阪市北区のクリニックで26人が犠牲になった放火殺人事件から17日で1年。通院先を失った患者をはじめ、不安を抱える人たちが集うオンラインサロンを開き続けている人がいる。障害者向けのウェブサイトを運営する「障害者ドットコム」(大阪市)の代表、川田祐一さん(50)は「よりどころを作り、孤立する人を減らしたい」と話す。

 現場となったクリニックに通っていた患者ら約20人が参加した3日夜のオンラインサロン。大阪教育大付属池田小学校(大阪府池田市)で2001年に起きた児童殺傷事件で長女の優希(ゆき)さん(当時7)を亡くした本郷由美子さんを招き、事件による喪失や悲しみとの向き合い方を語り合った。

 「涙が思いっきり流せないんです」。そんな参加者からの訴えに、本郷さんは「自己防衛もある。無理して泣く必要はない」と語りかけた。

 事件の発生日など特別な日が近づくと心身に不調をきたすことへの向き合い方を尋ねる声もあった。本郷さんは、「自分の気持ちや感情に素直でいてほしい。1年目の反応をモニター(観察)することで、翌年以降はストレスを緩和し、向き合い方をコントロールできるようになる」と助言した。

 質問したクリニックの元通院患者の男性は「対策の話は参考になった。1年は節目ではなく、ずっと生活が続いていくんだと実感した」と話した。

 このオンラインサロンは、障害者ドットコムが開いた。同社の取り組みは15年に川田さんが妻の直美さん(50)とスタートさせ、今では全国で4万以上の福祉事業所を検索できるサイトを運営。就労相談にも応じており、事件当時、事務所がクリニックの西約200メートルにあった。事件の犠牲者の中には相談に来ていた男性もいた。

 命を奪われた人だけではない…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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