長い梅雨も徐々に明け列島はいよいよ夏本番。マスクの手放せない時節柄もあり熱中症への注意が例年以上に必要になる中、参考になりそうなのが関東甲信の9都県で7月からスタートした「熱中症警戒アラート」だ。 環境省と気象庁が来年度からの全国運用に向けて試行するもので、多い年には10万人近くが救急搬送されている熱中症対策として導入した。長梅雨の影響もありいまだ〝発令〟に至っていないが、既存の高温注意情報との違いはどこにあり、なぜ新たな仕組みを設けたのか。その狙いと特徴をまとめた。(共同通信=松森好巨) アラートの特徴としてまず挙げられるのが「暑さ指数」(WBGT)を発令の基準にしていること。 暑さ指数は熱中症予防を目的とした指標で、気温や湿度のほか日差しの強さから算出される。環境省によると、米国発祥で、国際標準化機構(ISO)など国際的に認められている。単位はセ氏で示され、実際の気温より3~4度低くなることが多い。
日本生気象学会や日本スポーツ協会は、暑さ指数をもとに熱中症の予防策を段階的に分類した指針を作っている。例えば指数が31度以上だった場合をみてみると、同学会がまとめた日常生活に関する指針は「危険」として外出を避けるなどの対応を求めているほか、同協会の指針は「運動は原則中止」としている。 熱中症予防のため各種団体の指針に用いられるなど、有効性が確認されている暑さ指数。一方で、環境省の「熱中症予防情報サイト」に全国の日々の数値が掲載されているものの、大雨警報などのように「プッシュ型」で国民に伝えられることがほとんどない上に、そもそも国民の間の認知度が低いことが課題になっていたという。 今回のアラートは、有効ではあるけれどなじみの薄い暑さ指数を、気象庁のシステムを通じて広く発信するものだ。 具体的には暑さ指数が「33度以上」になると予想された場合、都県単位で前日の夕方や当日の朝にアラートを発表。アラートが出ると気象庁から報道機関や自治体、気象会社へと伝えられ、防災無線やニュースなどで一般の人たちに熱中症予防への対応を促す―という流れが想定されている。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース