太平洋戦争末期のサイパン島で戦死した軍医の日章旗が、約80年の時を経てひとり息子の元へと帰ってきた。戦場から持ち帰った元米兵の親族が保管し、「いつか返したい」と新型コロナの感染状況を見ながら、来日の機会を探ってきた。
「父が帰ってきた」
3月8日、名古屋市。中村隆男さん(78)=名古屋市昭和区=は血やインクがにじむ日章旗を握りしめ、涙をぬぐってつぶやいた。
軍医だった父・英二氏は、医局時代の仲間が「武運長久」などと寄せ書きした日章旗を携え、出征した。だが、隆男さんがまだ母親のおなかの中にいた1944年7月、サイパン島で戦死した。
日章旗を手渡したのは米陸軍…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル