全国殉職警察職員・警察協力殉難者慰霊祭が28日、東京都内で開かれた。5月に長野県中野市で猟銃などで4人が殺害された事件で死亡した県警中野署地域課の池内卓夫警部(61)=2階級特進=の長男で、同県警巡査部長の将吾さん(34)が遺族を代表し、追悼のことばを述べた。
「父の背を見て同じ警察官に」 遺族代表の巡査部長
将吾さんは「幼い頃から父の背中を見て育ち、同じ警察官になることができた。私の一番の理解者だった」と父の存在を表現。猟銃で撃たれ後、危険な状況のため現場からすぐ救急搬送できなかったことを明かし、「職業柄、危険が隣り合わせだと心の片隅では覚悟していたが、突然訪れた悲しみに家族全員打ちひしがれた」と話した。家族との思い出を挙げ、「県民のために職務に励んだこと、愛された夫、父、祖父だったことを私は誇りに思い続けている」と語った。
事件では池内警部と、同じく中野署地域課の玉井良樹警視(46)=2階級特進=が銃や刃物で襲われ死亡。女性2人も殺害された。現場近くの農業、青木政憲容疑者(32)が逮捕され、現在、精神疾患の有無などを調べる鑑定留置中。
全国慰霊祭は警察庁などの主催で毎年開かれ、今年は長野県警の2人を含む殉職警察官の7柱と民間人の1柱が合祀(ごうし)された。式には、遺族と岸田文雄首相や国家公安委員、露木康浩警察庁長官をはじめとする警察幹部ら計約130人が出席した。(編集委員・吉田伸八)
長野県中野市の4人殺害事件
長野県中野市の4人殺害事件 今年5月25日夕、長野県中野市で、散歩中だった村上幸枝さん(66)と竹内靖子さん(70)が男に刃物で刺されて殺害され、通報を受けパトカーで現場に駆けつけた中野署地域課の池内卓夫警部(61)、玉井良樹警視(46)=ともに2階級特進=が猟銃で撃たれるなどして死亡した。近くの農業、青木政憲容疑者(32)はその後自宅に猟銃を持って立てこもり、26日早朝に身柄を確保された。県警は青木容疑者を4人に対する殺人容疑で順次、逮捕した。現在は、精神疾患の有無などを調べる鑑定留置中。
殉職した長野県警中野署地域課の池内卓夫警部(61)=2階級特進=の長男で、同県警巡査部長の将吾さん(34)による追悼のことばの要旨は次の通り。
「じいじ、くだらない冗談言って笑わせて」
父は生涯を警察官として「住民の安心と安全を守る」という使命を持ち、昼夜を問わず、最前線で地域住民に寄り添い、職務に励んでいました。時にはパトカーに乗車し、荒れた現場に一番に駆けつけ、持ち前の話術と威厳で現場を即座に収束させるすご腕の警察官であり、時には40年間在隊した県警音楽隊のパーカッション担当として、音楽で住民との架け橋をつくるすご腕のドラマー警察官でありました。
私は幼い頃から父の背中を見…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル