朝倉義統 山田健悟
石川県能登地方を震源とし、同県珠洲市で震度6強の揺れを観測した地震から5日で1カ月となった。被害を受けた家屋に交付される罹災(りさい)証明書の申請はすでに1489件。市の世帯数の25%に相当する数に達した。家屋の修理も徐々に進むが、そもそも家を片付ける人がいない、過疎地の悩みも見えている。
被害が大きかった珠洲市正院町正院の人通りは少なく、倒壊した家屋がそのまま残る。家々では屋根瓦の修理などが続いていた。
一人暮らしの中明子さん(78)は、家の柱が傾き、応急処置の支柱を業者に取り付けてもらった。「次の地震で倒壊する危険を考えると、本当は家をつぶすのがいいけれど」。不安を感じながらの生活だ。ただ、ボランティアの支援には励まされた。「先を考えると希望が持てなかったが、助けてもらって何とか前を向いて生きようとしています」
近くに住む男性(79)は家が「危険」と判定され、被災直後の数日間は能登町の親族宅に身を寄せた。このたび家を業者に直してもらい、仮設住宅への入居申し込みもこの日に取り下げた。「うちは何とか雨露をしのげるようになったが、隣はまだ修理できていないから、夜はいなくなる」と語った。
罹災証明書の申請も絶えない。5日に申請を終えた同市蛸島町の女性(70)は「屋根と家の中の壁がやられた。業者には80件待ちと言われているので、梅雨になって雨漏りが心配」と話す。泉谷満寿裕市長は「罹災証明の調査はピッチを上げている」といい、「被災者生活再建支援金が支給されない人にも寄り添うため、市独自の対象拡充を考えている」と述べた。
ようやく片付けに着手
約1万3千人が住む同市は…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル