さいたま市大宮区のインターネットカフェで、男が女性従業員を人質に32時間余り立てこもった事件で、監禁容疑で逮捕された住居不定、無職林一貴容疑者(40)が「個室内のものが壊れたので来てほしい」などと声をかけて女性を個室に入れていたことが埼玉県警への取材でわかった。
女性がけがしていたことなども確認され、県警は20日、逮捕監禁致傷容疑に切り替えて送検した。
送検容疑は17日午後2時25分ごろ、雑居ビル7階の個室ブースで女性の首をつかんで引き倒すなどし、18日午後10時35分ごろまで監禁して首などに2週間のけがを負わせたというもの。
捜査関係者によると、林容疑者は立てこもりの最中、説得を試みる捜査員とのやりとりの中で、埼玉県警以外の警察の対応について不満を口にしていたという。
林容疑者は7階フロアで「個室内のものが壊れた」などと女性に声をかけ、室内を確認し終えた女性が外に出ようとした際に背後から首をつかんだという。
林容疑者は事件前日から当日朝にかけて店にいたことも判明した。16日午後8時ごろに訪れ、翌17日午前8時に一度精算して退店。その2時間後に再び入店していた。個室内にはカッターナイフなど複数の凶器があり、県警は女性を脅すために林容疑者が持ち込んだ疑いがあるとみている。林容疑者が身柄を確保された際、左手の指に刃物によるとみられる傷があったといい、県警は自ら傷つけたとみている。
食料を室内に差し入れた際の状況も明らかになった。県警によると、18日昼前に林容疑者から「甘いものがほしい」と要求があり、2人分のパンとペットボトルのお茶を届けた。この際、林容疑者は個室の扉を開けることは拒み、扉の中央付近にある不透明のアクリル板のような部分に穴を開けるよう求めた。個室の鍵穴には詰め物がされており、県警は約10センチ四方の穴を開けて林容疑者と女性にそれぞれ渡したという。
また、横浜市南区のホテルで今月13日朝、風俗店従業員の女性(22)が男に現金約32万円を奪われる強盗事件があり、この現場に残されていた指紋が林容疑者のものと一致したことも捜査関係者への取材でわかった。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル