昨春発足した、犯罪被害者やその家族による「新全国犯罪被害者の会(新あすの会)」の中心メンバー、渡辺保さん(74)。長女の美保さん(当時22)は、23年前に殺害された。自身の経験をもとに、被害者側への補償制度の整備などを訴える。
2000年10月16日の夜、美保さんは当時勤めていた衣類レンタル会社から、横浜市瀬谷区の自宅に帰る途中に襲われ、遺体で発見された。歩いていたところを背後から車ではねられて失神し、包丁で首を刺されて死亡した。
事件は、家族の日常を奪い去った。
ナイフが…悪夢に苦しんだ末
郵便局で保険の営業をしていた保さんは、家族を養うために仕事を続けたが、以前のようには打ち込めなくなった。
傷つけられた美保さんの遺体を見てから、妻の啓子さんはナイフで切られる悪夢にうなされ、自傷行為をしたり、泣きながら家を飛び出したりするようになった。
当時大学生だった次女と必死に支えたが、「お母さんが一番大変なんだから支えてあげて」と周囲から言われ続けた次女が、「私も大変なんだけどな」とこぼした時は、いたたまれなかった。
発生から約3年が過ぎたころ、美保さんの中学時代の同級生の男が警察署に「現場の花束を見たり遺族の手記を読んだりして、自責の念にかられた」と出頭した。
その後、全面否認に転じたが、検察は殺人罪などで男を起訴した。
それでも、家族の苦しみは続いた。
当時は、被害者やその家族が…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル