「餃子(ギョーザ)の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東(おおひがし)隆行さん(当時72)が射殺された事件にからみ、京都府警と福岡県警の合同捜査本部は、王将側による過去の「不適切取引」と事件に関連がなかったかを慎重に調べている。不適切取引の相手とされる企業グループの元代表が今月上旬、朝日新聞の取材に応じ、「大東さんとは友好的な関係だった」と述べ、事件への関与を否定した。
取材に応じたのは、ゴルフ場運営会社や電話保守会社など多数の企業を営んでいた上杉昌也氏(78)。上杉氏の説明などによると、王将の創業者とは長い付き合いがあり、出店などをめぐる相談に乗る関係にあった。財務担当だった創業者の次男(元専務)とも付き合いがあったという。
2000年に社長に就任した大東さんは、1995年ごろから上杉氏が代表をしていた企業グループとの間で重ねていた不適切取引の清算などを進めていた。
上杉氏は取材に対し「(王将側に)50億円を借りていたが、事件の半年ほど前、不動産などを売って返済した。証明する和解書がある」などと説明した。
「不適切取引」と認定 上杉氏は否定
王将が設置した第三者委員会の報告書によれば、福岡市中心部・赤坂のオフィスビルや福岡県甘木市(現・朝倉市)のゴルフ場隣地をめぐる不動産取引など、不適切とされた取引は14件。取引の一部は取締役会の決議や承認を経ておらず「経緯や経済的合理性は明らかではない」とされた。
例えば、王将側は1995年3月、上杉氏の関係企業から京都・祇園の5階建てビルを5億3千万円で購入していた(後に第三者に8千万円で売却)。また、同年4月には、上杉氏が関係する別の企業からハワイの高級住宅街の邸宅の土地建物を18億2900万円で購入していた(後に王将子会社に売却し、第三者に5億9800万円で売却)。
第三者委は、こうした総額約260億円の不適切取引があり、うち約170億円は回収できないまま損失処理されたと認定した。
上杉氏は、こうした認定について「額は全然違う。(王将側が)金額を操作して水増ししている」「後ろめたさは何もない」などと否定。個別の売買記録は残っているとした。
捜査関係者によると、殺人などの容疑で逮捕された特定危険指定暴力団・工藤会系組幹部の田中幸雄容疑者(56)と大東さんの接点は確認されていない。
上杉氏は取材に対し、工藤会…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル