開催まで残り1年に迫る大阪・関西万博。しかし、万博の目玉となるはずの海外パビリオンの建設は、今も遅れている。その背景には何があるのか。運営主体である日本国際博覧会協会(万博協会)の関係者らの証言をたどると、たとえ万博の魅力が薄れてでも開幕に間に合わせようと奔走する協会幹部らの姿が浮かぶ。
今年3月中旬、東京都内で開かれた万博協会の理事会。関係者によると、会議の終盤、ある理事がこう問いただした。
「『タイプA』の話だが、(建設)事業者が決まっていないところが20くらいある。これは(開幕に間に合わせるのが)少し難しくなってくると思う。協会としてどのように動いていくか、具体的に考えてほしい」
これに対し、協会の担当者は「課題を精査しながら検討を進めていく」などと応じただけだったという。
タイプAとは、海外の国・地域が独自に設計・建設するパビリオンだ。最新の技術で造りあげる建築物自体が来場者へのメッセージとなり、「万博の華」とも呼ばれる。
1970年の大阪万博では、「月の石」を紹介したアメリカ館や、ソ連館などがタイプAで、今も万博に通った人々の記憶に残っている。
タイプAの建設には、時間も各国の費用もかかる。2005年愛知万博の海外パビリオンは、協会がプレハブ工法で箱形の建物を建てて引き渡す「タイプX」だった。だが今回、半世紀を超えて再び大阪で開かれる万博では、タイプAの導入を決定。当初60カ国(56施設)が出展を予定していた。
海外パビリオンの建設遅れが顕著になるにつれ、焦りを深めていく関係者たち……。記事の後半ではこの間の政府や万博協会、ゼネコンの対応と本音を、関係者の証言からひもといていきます。
しかし、前回のドバイ万博の…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル