松浦祥子、森下裕介
「買い取り・現金先払い」をうたう業者に物品の写真を送信し、現金を借りたら、違法に高額な返済を強いられた――。そう訴える大阪府と兵庫県の男性7人が15日、東京や大阪などの業者5社に計約336万円の損害賠償を求める訴訟を大阪簡裁などに起こした。古物商などと登記されている業者から、年利換算で360%超の返済を迫られたとし、「実態はヤミ金業者だ」と主張している。
訴状によると、原告の男性らは2020年8月~今年9月、ネット上で業者を見つけて利用。ラインなどを通じて物品の写真を送ると、業者側から「買い取り代金」が示され、同額が振り込まれた。業者と「売買契約」を結ぶものの、物品の送付先が示されていなかったことなどから「売却の意思はなく、借金をしている認識だった」という。
業者側から直近の給料明細などの提示を求められ、現金を受け取った翌月の給料日に、年利換算で360~3370%の返済を求められたという。
提訴を受け、業者のうちの1社は「突然提訴されて戸惑っている。訴状が届いていないため事実確認ができない」とコメントした。
金融庁によると、同様の方法は21年秋ごろから目立ち始め「貸金業法や出資法違反の可能性が高い」という。同庁が、給料を債権として現金を貸し付ける「給与ファクタリング」は「貸金に当たる」との見解を示してから増えたという。
弁護士や司法書士らでつくる「買い取り金融対策全国会議」などは19日午前10時~午後4時、電話(06・6361・0546、048・774・2862)で無料相談を受け付ける。同会議の共同代表で、原告側代理人の前田勝範司法書士は「気軽に現金が手に入るが、繰り返し利用するとすぐに多重債務に陥る。専門家に相談してほしい」と呼びかけている。(松浦祥子、森下裕介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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