琵琶湖の固有種で地元でも流通量が少ないことから「琵琶湖の宝石」とも呼ばれるビワマスの生態に迫る企画展「海を忘れたサケ-ビワマスの謎に迫る-」が滋賀県草津市下物町の滋賀県立琵琶湖博物館で開かれている。近縁種のアマゴとの関係など最新の研究成果を紹介するパネル約50点が展示されている。11月24日まで。
ビワマスはサケ科の淡水魚で、ピンクの身から「ビワサーモン」の愛称で知られる。大きなものは全長70センチあまりにも達し、脂が乗った身は刺身や焼き物などに最適で、古くから地元の人たちに親しまれてきた。
企画展はビワマスの進化や人間との共存などが主なテーマ。ビワマスは全ての個体が琵琶湖に降り、秋の産卵直前に河川に遡上(そじょう)すると考えられていたが、調査の結果、河川に残ったまま成長したり、初夏に河川に遡上したりする個体が存在することが判明。ビワマスは近縁種のアマゴの生息域までは遡上せず、両者はすみ分けて生息するとされてきたが、両者のDNAを分析した結果、交雑魚が一定数いたことも分かった。
企画展はビワマスの謎に迫る一方で、漁獲量が年々減少しているビワマスの危機にも焦点を当てている。
戦前には年間約80トンで推移していた漁獲量は現在は半分以下の30トンほどに落ち込んでいる。企画展を考案した桑原雅之学芸員は漁獲量の減少について「10~11月の産卵期は許可を持った漁師のみが捕獲できるが、密漁が横行している」と指摘。「人間の活動が大きく影響していることは間違いない」と分析している。
桑原学芸員は「あまり生態は知られていないビワマスのことを知ってもらい、琵琶湖の固有種を残していくことを考えてもらう機会にしたい」と話している。
料金は一般750円、高・大生400円で中学生以下は無料。問い合わせは同館(077・568・4811)。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース